脊髄グループ

整形外科疾患でも特に重篤な外傷であります“脊髄損傷”と、脊椎の加齢性変化(頚椎症)や後縦靭帯骨化症(OPLL)などが圧迫因子となり、四肢のしびれ や運動障害を発症します“圧迫性脊髄症”の神経変性の機序やその抑制をテーマに多方面から精力的に研究を進めております。当グループでのこれまでの研究成 果、最近の取り組みについて、ご紹介させていただきます。

後縦靭帯骨化症(OPLL)の遺伝子解析

疫学調査、双生児調査、HLAハプロ調査、罹患同胞対連鎖解析を行い、本疾患に 遺伝的背景が極めて重要であることを世界に先駆けて報告しました。

脊髄損傷の神経変性抑制

脊髄損傷モデルにstem cell factorを投与したところ、神経損傷の抑制効果が認められました。stem cell factorは、脊髄損傷後の神経保護治療薬としての臨床応用が示唆されました。また、エリスロポエチン投与でも同様の神経損傷抑制効果が認められました。

脊髄損傷の神経変性機序

TNF-αが脊髄損傷における神経細胞のアポトーシスの誘導に寄与することが言われております。当グループでは、炎症性メディエーターであるHMGB-1がそのTNF-αを誘導し、アポトーシスを来たす機序を報告しました。

圧迫性脊髄症のシグナル伝達、神経変性機序

慢性圧迫性脊髄障害モデルでの神経細胞のアポトーシスを制御するシグナル検討を行い、リン酸化ASK1,リン酸化JNK,リン酸化p38の発現を認めました。慢性圧迫で生じる神経変性機序にMAPKのシグナルが関与していることを報告しました。

圧迫性脊髄症の神経変性機序、オートファジーの関与

現在、保健学科のスタッフと共同で、“慢性圧迫性脊髄障害におけるオートファジー”の研究を行っております。細胞内蛋白分解系のひとつであるオートファジーは、恒常的細胞内代謝、飢餓、老化、細胞死、神経変性、感染、癌など多彩な病態に関与することが明らかにされており、近年注目を集めております。当グループでも、慢性圧迫性脊髄障害モデルでオートファジーの関与が示唆され、神経変性の病態解明に一端を担えるべく研究に励んでおります。