2024-04-20

鹿児島大学 整形外科学教室

Department of Orthopaedic Surgery Kagoshima University

足外科グループ

年間手術件数(R4.1~R4.12):68件

 

足外科(足部・足関節)は、中村(俊)助教を中心に診療しております。

足部・足関節は、日常生活を送る上で、直接地面に接する運動器で、ひとたび異常が生じると、歩行やスポーツ活動に影響を及ぼし、日常生活が著しく制限されます。足部・足関節の疾患は、小児から高齢者に至るまで幅広い年齢層に発症します。また、先天異常や変性疾患、スポーツ傷害、外傷など、症状を発症する要因は多岐にわたり、診断や治療には専門的な知識が必要となります。治療にはリハビリテーション、靴の指導、装具の処方、エコーガイド下ブロックなど含めた保存療法と、手術療法に大別されます。患者様の年齢や生活習慣、疾患の重症度などに合わせて、最も適切な治療法を選択していくことを心掛けております。

対象疾患

前足部障害:外反母趾、リウマチ性足部変形、強剛母趾、フライバーグ病、中足骨疲労骨折、ハンマートゥ変形、モートン病など

中・後足部障害:変形性足関節症、成人期扁平足、有痛性外脛骨、リスフラン関節症、足底筋膜炎、足部変形(外傷後、麻痺性)

スポーツ障害:足関節靭帯損傷(前距腓靭帯、踵腓靭帯、前下脛腓靭帯、三角靱帯など)、距骨骨軟骨損傷、前方・後方インピンジメント症候群、アキレス腱断裂、腓骨筋腱脱臼など

小児疾患:内反足、足根骨癒合症など

【変形性足関節症】

足関節を構成する脛骨と距骨の軟骨が徐々に変性し、関節症を呈する疾患です。足関節の痛みを伴い、日常生活に著しい制限が出現します。保存療法に抵抗性で、変形が進行している症例では手術療法を選択します。手術療法は、各病期に合わせて、骨切り術や固定術、人工関節などの適切な治療法を選択する必要があります。

【足関節外側靭帯損傷

慢性足関節不安定症】

足関節捻挫は、もっとも頻繁に認められるスポーツ外傷です。足関節の内返し捻挫で、腫脹や疼痛が強く、皮下出血を認めるものは、外側靱帯(前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯)損傷が強く疑われます。その多くは固定や安静を中心とした初期治療と、引き続くリハビリテーションにより、保存的に治癒するとされています。しかし、15-20%は不安定性が残存し、捻挫を頻繁に繰り返し、慢性的な疼痛のために、スポーツを行う上でパフォーマンスが低下します。さらに軟骨損傷や変形性足関節症への伸展が危惧されます。症状が日常生活やスポーツ活動でパフォーマンスの低下を来している場合には関節鏡下に靱帯の修復術や、靱帯再建術を行います。

【距骨骨軟骨損傷】

何らかの原因により、距骨の軟骨がダメージを受け、慢性的な足関節痛が持続する疾患です。足関節捻挫との関連性が報告されていますが、外傷歴のない場合もあります。レントゲンだけでは診断困難な場合も多く、CTやMRIで初めて診断が可能となるケースもあります。症状が持続し、日常生活やスポーツ活動に支障をきたす場合には、各病期に合わせた、適切な手術療法(ドリリング、骨軟骨片固定術、自家海綿骨柱移植術、骨軟骨柱移植術など)を選択します。

【三角骨障害】

(足関節後方インピンジメント症候群)

バレエダンサーやサッカー選手は、競技の特殊性により足関節底屈位(足首を伸ばす)を繰り返し矯正されます。距骨の後方に三角骨がある場合、足関節底屈位を矯正されることで、三角骨が踵骨や脛骨との間に挟まりこむ、あるいは周囲の軟部組織が挟まりこむことで足関節後方の痛みが出現し、スポーツ活動におけるパフォーマンスが低下する疾患です。リハビリやエコーガイド下ブロックなどが治療の基本ですが、症状が持続する場合には手術を選択します。当院では関節鏡下に三角骨や滑膜の切除を行います。