スポーツグループ

スポーツグループは、廣津助教、中村(俊)助教を中心に診療しております。

膝前十字靭帯損傷

前十字靭帯とは?:前十字靭帯は膝関節の中で、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)をつないでいる強力な靭帯で、その役割は、主に大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)の2つがあります。 つまり、この靭帯を損傷すると、膝は前後方向および回旋方向の2つの方向に緩くなります。

原因:スポーツ外傷として頻度が高く、ジャンプ後の着地、疾走中の急激な方向転換・ストップ動作、相手との衝突などによって、膝関節に異常な回旋力が加わって損傷します。

症状:関節内に出血が起こるため、数時間で大きく腫れることが多い。損傷直後は痛みのためプレー続行不能なことが多い。歩き始めた際に膝の不安定感を感じ、時折膝崩れを起こすこともあります。

治療:前十字靭帯は関節内にある靭帯であり、血流が乏しいということもあり、自然治癒は困難であると言われています。また、これを放置すると膝の亜脱臼を起こすようになり、スポーツ活動の継続が困難になります。無理に継続すると、半月板や軟骨等を傷つけてしまい二次的な障害を起こす原因ともなります。よって、治療は靭帯再建術を行うことがほとんどです。

手術方法:前十字靭帯は、断裂した靭帯を縫合することによる安定性獲得は困難で、靭帯を再建する手術を行います。再建するために使用するものは、ハムストリングスという膝を曲げる腱か膝蓋腱です。前十字靭帯は機能的に2つの線維に分かれていると言われており、この2つの靭帯を再建する目的で、我々はハムストリングを用いた再建術を第1選択としています。膝内側に切開を加え、この腱を採取し、適切な太さ、長さに調整し、2本の移植腱を作成します。この腱を膝関節に移植して固定するわけですが、脛骨、大腿骨に2つの穴(骨孔)を作成します。この骨孔の中に移植腱を通します。移植腱の固定は、大腿骨側はエンドボタンという金属と人工靭帯の付いたもので固定し、脛骨側はステープルという金属で固定する形となります。

術後リハビリ:術後リハビリは非常に大事です。手術は成功しても、リハビリをしっかり行わないと機能的に良い膝にはなりません。術後は膝の固定を行い、徐々に可動域訓練を開始します。荷重は、4週間程度で全荷重となります。装具は3ヶ月程度装着し、筋力の回復状態などを見て、5ヶ月よりジョギング、6ヶ月よりランニング、スポーツ復帰は10ヶ月程度を目標にします。

 

半月板損傷

膝半月板損傷は比較的多いスポーツ外傷の一つです。半月板には、軟骨にかかるストレスを減らす重要な役割があるため出来る限り温存することが重要です。以前は、半月切除術が主な治療法とされていましたが、半月切除後に長期間経過観察すると程度の差はあれ、関節軟骨が傷むことから、現在では温存を目的とした治療が注目されています。半月板は膝関節の中で大腿骨と脛骨の間にあるC型をした軟骨様組織で、内側と外側にそれぞれ一つずつあります。半月板は、関節に加わる体重の負荷を分散させる役割と、関節の位置を安定にする働きをしています。

半月板が損傷すると、膝を曲げ伸ばしする際、引っかかり感が生じたり、疼痛を生じます。ヒアルロン酸やリハビリなどの保存治療を行うこともありますが、症状が改善しない場合や保存治療で改善が期待できない状態の場合は、関節鏡を使用した手術が考慮されます。

手術には半月板切除術、縫合術の2つがあります。半月板には全てに血流があるわけではなく、また血流がない部分の縫合術では癒合が難しいということもあり、最近では、自分の血液の凝血塊を断裂部に挿入して縫合するなど工夫して、できる限り半月板を温存する方法が開発されています。縫合術か切除術かは患者の年齢や半月板の状態でも変わりますので、全てが縫合できるとは限りませんので患者の状態を見て判断します。