脊椎グループ

脊椎グループの診療は、米保健学科教授、冨永助教、河村助教、八尋、俵積田で担当しております。側弯症などの脊柱変形や脊椎脊髄腫瘍、上位頚椎、靭帯骨化症など難易度の高い疾患と腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、頚椎症性脊髄症といった頻度の高い疾患まで加療を行っております。高難度の手術に対しましても、脊髄モニタリングや術中画像診断を用いて、手術の安全性を高める工夫を行っております。現在3名の日本脊椎脊髄病学会指導医(脊椎内視鏡下手術・技術認定医1名)を擁し、年間手術件数は約250件です。当班では後縦靭帯骨化症、脊髄損傷に関する研究を行なっている他、さまざまな基礎的および臨床的研究を行っております。

 

頸椎症性脊髄症

病態)年齢的な変化が首の骨に加わると、骨の棘、椎間板の膨隆、靭帯のたわみなどにより、脊髄が圧迫され、手足のしびれや痛み、手足の運動障害や場合により排尿障害が出現する疾患です。

 

頚椎後縦靭帯骨化症

病態)首の骨を安定化させる靭帯である後縦靭帯が骨のように硬くなってしまい、脊髄を圧迫し、手足のしびれや痛み、手足の運動障害や場合によっては排尿障害が出現する疾患です。靭帯の動きが悪くなるために、首の動きが硬い方が多いです。

手術の適応)手の細かい動作の不自由さ(箸が使いにくい、字が書きにくい、ボタン掛けがしにくいなど)、足が突っ張って歩行がしにくくなる、排尿排便の障害(残尿がある、尿がでにくいなど)などが出てきて、内服やリハビリで効果がない場合は手術が適応になります。

手術方法)

脊髄の通り道を広げてあげる手術方法があります。前から広げる方法と骨化をとらずに後ろから広げてあげる方法があります。当院では必要に応じ、顕微鏡を用い、安全かつ身体への負担の少ない手術を行っており、いずれの手術も長期に安定した成績を得ています。

 

腰椎椎間板ヘルニア

病態)

腰椎(腰の背骨)の間には、クッションの役割をする椎間板があります。加齢変性や腰部の負担により、椎間板が障害され、椎間板内にある髄核という組織が脊柱管内に突出・脱出する病態です。腰痛や神経圧迫による下肢放散痛・しびれを認め、場合によっては下肢麻痺や排尿障害を認めることがあります。

治療)

腰椎椎間板ヘルニアの多くは、内服やリハビリ、神経ブロック等の保存療法により改善を認めます。保存療法抵抗性の場合は手術治療を選択する場合があります。

 

腰部脊柱管狭窄症

病態)年齢的な変化が腰椎(腰の背骨)に加わることにより、脊柱管(神経の通り道)が狭くなり、神経の圧迫によって症状が出現する疾患です。特徴的な症状として、間欠性跛行(歩行により下肢痺れ、疼痛、脱力を生じ、休息、前かがみになると改善)が挙げられます。

治療)症状も変化することもあり、内服やリハビリ、神経ブロック等の保存療法が適応となります。保存療法によっても症状改善がない場合、手術治療を選択する場合があります。手術は除圧術もしくは固定併用手術が主となります。除圧術には、内視鏡下手術の適応の場合もあります。

 

脊髄腫瘍 

病態)手や足の運動や感覚を制御する脊髄にできる腫瘍で、発生部位や圧迫の仕方で症状は様々です。腫瘍が脊髄を圧迫すると、運動麻痺、知覚障害、痛み、しびれ、排尿・排便困難などの症状が出現することもあります。

手術適応)腫瘍の種類や部位、症状の程度により熟練した専門医が手術の必要性や方法を判断します。

手術方法)背骨の中にある脊髄の腫瘍を、顕微鏡で観察しながら正確に切除します。当院では、術中、顕微鏡、脊髄モニタリングを用いた手術を行うことで安全性を飛躍的に高めております。

 

脊椎腫瘍

背骨に発生する腫瘍で骨原発性や転移性がありますが頻度が多いのは悪性腫瘍の転移性腫瘍です。転移する骨で最も多いのが背骨(脊椎)です。近年分子標的治療薬をはじめとした治療法により転移後も生命予後が望めるようになってきてます。

 

小児側弯症

病態)様々な原因で背骨が曲がってしまう疾患です。機能性側弯と構築性側弯があり、構築性側弯の原因としては特発性、先天性、症候群性が挙げられます。変形が進行するにつれ、疼痛が生じたり、胸郭変形により呼吸機能に悪影響を及ぼす場合があります。また角度が大きい場合は、成人に達しても変形が進行する場合があります。

治療)古来から様々な治療が行われてきましたが、現在医学的根拠の元で行われている治療は、①経過観察(定期外来受診)、②装具治療、そして③手術治療の3つが主体となります。疾患原因、年齢、成長の程度、曲りの角度を考慮し、治療法を選択していきます。

 

成人脊柱変形

病態)加齢変性をベースとした変性側弯症(一次性)と外傷や手術後等に進行する体幹バランス異常(二次性)

に大別されます。変性側彎症には成人特発性側弯(de novo側弯)、小児期変形遺残などが挙げられます。成人症例では腰痛や体幹バランス異常による歩容異常、また胃食道逆流症(GERD)による胸やけ、悪心を認めることがあります。